≪ 天地人の発表 ≫
皆さんの選句の天3点、地2点、人1点として、集計した上位句です。
対象 257回 掲示俳句
天 蝉のこゑばかり信濃の無人駅 丈
天 息継ぎに浮くハンザキの巨体かな 正憲
天 足跡を水に返して水馬 正憲
天 ポケットに給料袋夜学の子 春生
天 星ひとつ露の牛舎に乳搾る 春生
天 夕風や落ち残りたる花芙蓉 逸郎
地 落人の里をしづめて青嶺かな 丈
地 猫飼って満たされゐたる夕端居 逸郎
人 山からの水豊かなり稲の花 史
人 秋草を活けて客待つ陶器店 史
≪ 感 想 ≫ 対象257回の掲示俳句
1 蝉のこゑばかり信濃の無人駅 丈
・ 信濃が効いています。 シンプルで無駄がない。 [天] (If)
・ 確かに、無人駅らしいですね。(hw)
・ 信濃といえば 飯田線には無人駅が多いが、掲句は報告調なのが気になる。
信濃は無人駅が多いということに焦点をを当てて “無人駅多き信濃路蝉しぐれ”ではどうか。?(My)
2 落人の里をしづめて青嶺かな 丈
・ 全国に「落人の里」 というところはありますね。雰囲気があります。 【地】 (hw)
・ 「しづめて」は、やや気になるが、まとまっています。(If)
・ 調べを良くするには “落人の里のしづもる青嶺かな” だが どちらが良いのだろうか。?(My)
3 屋根赤きコテージいくつ夏木立 丈
・ 内に秘めたものが弱い。(If)
・ 避暑地の風景のようですね。(hw)
4 風絶えぬ橅の下陰ハンモック 丈
註.橅(ぶな)、山毛擧とも書く。日本特産の樹木のひとつ。
・ 頭ではわかっていても、下陰が気なります。(If)
・ 涼しそうです。こんなところに住めば、長生きしますね。(hw)
5 軽やかな山のガイドの背なの汗 丈
・ 軽やかに見えるなガイドさんも一生懸命で、背なには汗。(If)
・ 「軽やかな」はどこに係る?(hw)
・ 上五の表現が抽象的。“髭面の山岳ガイド” など具体的に写生したい。 (My)
6 遊船や北信五岳の風の涼 丈
・ 北信五岳とは、長野県北部の、妙高山(みょうこうさん)、斑尾山(まだらおやま)、
黒姫山(くろひめやま)、戸隠山(とがくしやま)、飯縄山(いいづなやま)
の5つの山の総称である。北信五岳の中では、妙高山が一番高く、
深田久弥の日本百名山のひとつ。地元では「まみくとい」という愛称で
呼ばれている。これは斑尾山(ま)、妙高山(み)、黒姫山(く)、戸隠山(と)、
飯縄山(い)の頭文字をとって並べたものである。以上はネットのウィキペディア
から拾ったものです。
作者は五岳の風を感じながら船上から五岳を眺めている。(If)
・ 後で気がついたのだが、この遊船は野尻湖の観光船なのだが季語として納涼船の意でも使われる。やはり「風の涼」ではなく「風豊か」とした方が良さそうだ。 (Jt)
・ 涼しそうです。(hw)
・ 少し説明調な句。“真向ひに北信五岳湖涼し”では如何だろうか。? (My)
7 山上の櫨の梢の初紅葉 丈
・ 櫨の紅葉は格別きれいだ。作者は平地ではまだ見られないものを
山上で発見したのだ。(If)
・ 真っ赤な色が浮かんできます。(hw)
8 黒姫の山肌ほのか月涼し 丈
・ 月光の山肌がほのか?に見えた。(If)
・ 上手い句です。(hw)
9 雲上のテラスへアルプスよりの風 丈
・ 作者はテラスにいるようですが、そうだと「テラスへ」が、やや説明調か。(If)
・ 季語としての「テラス」は建物に付随した屋外の部分だが、岩壁などにある狭い棚状のところを指すのが本来の意味らしい。この「雲上のテラス」とは北志賀高原にある「SORAテラス」と呼ばれる標高1770mの場所である。北信五岳の彼方に北アルプス、更には日本海も見晴るかすことができる。 (Jt)
・ 最高の風ですね。(hw)
10 朝涼やリフトへ白樺渡る風 丈
・ 「リフトへ白樺渡る風」はわからなかったが、「白樺(林)を渡る風」のつもりであったらしい。(If)
・ 信州辺りの風景ですね。(hw)
・ 句材過多になっているような。? (My)
11 息継ぎに浮くハンザキの巨体かな 正憲
・ 巨体を見られるのは、即ち 昼間に浮き出てくるのは、繁殖期の夏場だけと
言われています。通常はゆったりしてあまり動きませんが、餌を食べる時には、
すばしこい動きをするそうです。
息継ぎするときにも巨体が見られるのかなあとは思いますが、
この句は、違和感はないようですね。 [地] (If)
・ 細かい観察で、うまい句です。【人】(hw)
・ 動かないところしか見られない大山椒魚なればこそ、浮き上がったときの印象は強く驚きがある。 (Jt)
12 シャッターの錆色の波秋近し 正憲
・ 上5は「被写体の」とするも一法か。(If)
・ 店舗や倉庫のシャッターであろう。古びて錆色に波打っているという。晩夏、苛立たしいまでの暑さだが、ようやく秋も近づいた。少しばかりの希望が見えそう? (Jt)
・ 取り合わせが面白いです。(hw)
13 複眼といふ視座の欲し鬼やんま 正憲
・ この視座がどうなのかが欲しいようですが。 (If)
・ 昆虫の単眼に対する複眼だが、「複眼的思考」という言葉が使われる。人間の視力、見え方には及ばないのだろうが、鬼やんまの複眼を見ながらつくづく思うのであろう。 (Jt)
・ 鬼やんまは複眼ですね。(hw)
14 足跡を水に返して水馬 正憲
・ 水の表面なのだから、あめんぼうの足跡はつかない、というかその痕跡はすぐに消えてしまう。足があるのだから足跡はあっても良さそうなものだが……。「足跡を水に返して」とはうまく言ったものだ。共感。『天』 (Jt)
・ よくわからない。(If)
・ 「水に返して」という、素敵なフレーズが意味不明の句にしている。(hw)
15 風立ちて大葭切の声揺らす 正憲
・ 独断ですが、「風が声を揺らす」かのようにもとれて、すっきりしない。(If)
・ 何となく分かる。大きく小さく揺れるような……。大葭切、小葭切、後者の方が一般的のようだが、一句の中では「小」より「大」か? 字数も整うし……。 (Jt)
・ しっかりした描写力です。(hw)
16 万葉の素焼きの器今朝の秋 正憲
・ まとまっています。(If)
・ 万葉の時代とは飛鳥・奈良の時代だが、この頃から釉薬を用いた陶器が作られるようになった、という。しかし多くはまだ素焼きのものが使われていたのだろう。陶器にも磁器にもそれなりの味わいがあるが、素焼きには素焼きの味わいがあると感じて立秋の季節感と響合わせているのだろう。 (Jt)
・ 取り合わせが上手いです。(hw)
17 水馬の折れさうな脚さざ波来 正憲
・ まとまっています。(If)
・ そう思わせるような脚の長さ、細さ。さざ波に対処するような本能的な能力は当然もっている筈だが……。直感的に見た印象がよく分かる。 (Jt)
・ でも、大丈夫ですね。いい感じです。(hw)
18 走る走る海亀の子の砂まみれ 正憲
・ まとまっています。(If)
・ 映像でしか見たことのない光景だが、孵化した海亀は華奢な脚で必死に海へ向かって走る。しかも夜間に。陸の天敵に襲われないためだという。この世で初めての命がけの疾走か……とも。涙ぐましいまで。表現がリアル。共感。 (Jt)
・ 臨場感が出ています。(hw)
19 八月の海艦上の日章旗 正憲
・ 八月(終戦月)の海艦上の日章旗では、なんとなく違和感があります。(If)
・ 日章旗を掲げた戦艦。しかも6日、9日、15日のある日本の八月。防衛力の強化は賛否あろうが、人間というものは綺麗事では済まされない。直接戦争に関わらずに済んだこの70年余、これは奇跡か? さてさてこの先は? などと勝手な連想を膨らませてしまう。 (Jt)
・ 報告句のように思いました。(hw)
20 空蝉となる渾身の力かな 正憲
・ この句の「空蝉となる」は、やや馴染めない。(If)
・ 空蝉は蝉が脱皮してその後に残されたもの。空蝉になったのではなく、蝉の殻を残して蝉が誕生した……というのが事実だが、考えようによれば、空蝉は死後の世界、蝉はうつし世のもの。脱皮した後の命は僅か1〜数週間。死期を見つめて必死に生きるものの姿であろうか? 五木寛之ではないが人生の林住期を終えて遊行期を生きる者のような……。しかし自分にはできるのかどうか……? (Jt)
・ 意味がわかりません。「渾身の力」が空蝉?(hw)
21 月知るや縄文人の火焔土器 春生
・ まとまっていると思います。 (If)
・ 「月」は季語としての秋の月であろう。このさやけき月の存在を知ったことよ、と詠嘆しているのだろうか? 火焔土器を作ったり使ったりしていたかの縄文人達が……というのだろうか? 或いは月の擬人化、月は知っていた。縄文人の心豊かな生活を……とか? (Jt)
・ 上五の“月知るや”は縄文人が月を知っているのか。?ということなのか。? 句意が分からない。 (My)
22 脱衣場に新藁匂ふ共同湯 春生
・ 「銭湯の脱衣場匂ふ今年藁」としてみました。(If)
・ ローカルな場所の共同浴場。日中稲田で働いてきたのだろう、新藁の匂いが衣類にも体にも染み付いているのだろう。そこに新藁があるわけではなかろう。実体験はないが温泉地などにはよく共同浴場がある。 (Jt)
・ 脱衣場があるので下五の共同湯の措辞は蛇足かと。? “脱衣場に新藁匂ふ朝かな”など工夫したい。(My)
23 ポケットに給料袋夜学の子 春生
・ 昭和の頃の回想の句であろう。昼間働き夜は定時制高校へ通う生徒は給料日ともなればポケットに給料の入った封筒を無造作に入れていた。懐かしい光景である。 共感。 【天】(My)
・ 「夜学子のポケットに給与明細書」とするも一法か。(If)
・ 夜学生、夜学子とは言うが、「夜学の子」としたくはない。「子」は子供の意味ではなく男子に対する敬称としての子(し)だからである。
この場合も「ヤガクノシ」と読めばいいかも知れないが……。下五を「夜学生」とすれば良いのかも。いかにも高校、大学の夜間部に学ぶ学生のような雰囲気で往時をしのばせる。ただ季語としての「夜学」は涼しくなっ た夜長の季節に夜間に勉強に励むという意味だとも……。そうでないと季感が乏しい。 (Jt)
24 星ひとつ露の牛舎に乳搾る 春生
・ 朝露と明けの明星ではなかろうか? 宵の明星では露のイメージが乏しい。昔は専業の牧畜業でなくとも搾乳があった。懐かしい句が続く。『地』 (Jt)
・ 上5を「星生るる」とするも一法かと思うが [人] (If)
・ 一番星の出る夕暮れの光景であろうが、季語である露が活かされていないように思う。 (My)
25 子規の忌や一病を得て人恋し 春生
・ 中7を「一病ありて」とするも一法か。(If)
・ 子規忌は9月19日。ようやく秋めいてきて唯でさえ人恋しくなる時節。かの「病牀六尺」の子規。一病を得た時の思いは……。 (Jt)
26 じやがいもの面構へよし道の駅 春生
・ 上5は「新じゃがの又は新馬鈴薯(しんじゃが)」とするも一法か。(If)
・ 道の駅に並べられた大ぶりの馬鈴薯か? 面構えよし、と見た。最近は馬鈴薯の品種もいろいろ。昔とは大分ちがう。自分も最近、じゃがいもが好きになった。そんな思いが面構えに現れたのだろう。 (Jt)
27 一時過ぎ眠れぬ夜や台風来 史
・ わかりますが、報告の域か。(If)
・ 「災害大国日本」などという言葉も耳にするこの数年。河川の氾濫、土砂災害等々ニュースを賑わす。警戒情報、避難指示等、まさに眠れぬ夜を体験せざるを得ない。上五中七、もう少し言葉の整理ができるかも……。 (Jt)
・ 台風の音、風のぶつかるものの音、うるさいですね。(hw)
・ 原因結果の句になってしまっている。 詩情が感じられない。 (My)
28 片陰を拾って帰る稽古の子 史
・ まとまっているようです。(If)
・ 上五中七、よく使われるフレーズかも……。 (Jt)
・ 暑いですからね、感じが出ています。(hw)
・ 上五中七の“片陰を拾って帰る”の措辞は少々無理な表現と思うが。? (My)
29 山からの水豊かなり稲の花 史
・ 稲の花が咲く頃、穂孕みというのだろうか? たっぷりの水を必要とするという。水が豊かに流れ込んでくるとは有難い。豊作の兆し。農に関わりを持たないとなかなかできない句かも。『人』 (Jt)
・ 稲の花の頃には、田に水はないようですが・・・。(If)
・ 暑いですからね、感じが出ています。(hw)
・ 上五の措辞は口語調 文語にするのなら “山よりの”とすべき。 (My)
30 秋草や墓地への道の欠茶碗 史
・ 意図がわからない。(If)
・ どんな人がこんなところへ欠茶碗を捨てて行ったのだろうか? 殺伐とした感じ。 (Jt)
・ 「欠茶碗」の発見がいいですね。(hw)
・ どのように鑑賞すれば良いのか分からない。 (My)
31 秋草を活けて客待つ陶器店 史
・ 店頭に壺をおいて桔梗、吾亦紅など挿しているのであろう。客待つの措辞が気になるが映像が浮かぶ。共感。 【人】(My)
・ 臨場感を高めるため、縁起のよさそうな、もの、字面、音感などを合わせたい。
この句では、冬の季語だが、上五を実千両としてみました。(If)
・ 陶器店に並んでいるのは和食器ばかりではないだろうが、活けられた秋草は和食器の売り場に似合いそうだ。 (Jt)
・ こういうお店、買いたくなりますね。 (hw)
32 秋草に囲まれてゐる道祖神 史
・ 「道祖神囲む秋草青青し」としてみましたが。(If)
・ 秋草といっても様々。ススキや葛などがはびこっている中に、ひっそりと道祖神がありそう。 (Jt)
・ 雰囲気がでました。(hw)
・ 報告調なのが気になる。 “秋草に隠れてをりぬ道祖神”など工夫したい。(My)
33 窓辺にて肩肘ついて月を待つ 史
・ ちょっと似つかわしくなかなあ。(If)
・ 「肩肘を張る」「片肘をつく」誤植かも。待ち遠しい。 (Jt)
・ 待つどおしいですね。このポーズ、絵になります。(hw)
・ 35番の句にワインがあるので “肩肘をついてワインを今日の月”など推敲したい。 (My)
34 どの家も起きてゐるよう月仰ぐ 史
・ どの家も月を仰いでいる?。(If)
・ 「ゐる」というなら「やう」では? まさに名月なのかも。 (Jt)
・ 名月、もったいなくて眠れません。(hw)
35 満月のうさぎ跳るやワイン酌む 史
・ 「跳るや」は「跳ねろよ」としてみました。(If)
・ すてきです。(hw)
36 月天心窓のカーテン開けしまま 史
・ 暑いから、「開けしまま」なら理屈になる。(If)
・ 夜も更けて月も天心ににかかる頃、眠るに惜しい今日の月。気持が分る。 (Jt)
・ 一晩中、見ていたいですね。(hw)
37 八月やとかく此の世はオンとオフ 逸郎
・ 下五、難しい言い回し。連想が及ばない。或いは恐ろしい話ながら、この世は戦争に踏み切るか、否とするか、そのスイッチのオンとオフのようなもの、という見方か……とも。全く俳句の4割は読者が作るもの?? (Jt)
・ 意味が、理解できませんでした。(hw)
・ 季語の八月が活かされているのだろうか。? (My)
38 猫飼って満たされゐたる夕端居 逸郎
・ 一人居の寂しさか。?猫をこよなく愛している作者の心持が出ている。 【地】(My)
・ 世はペットブームの感がある。犬も猫も飼ってみると可愛いものなのだろうことは十分想像できる。端居をしているところへも寄り添ってくるこの子。悠々自適……かも。 (Jt)
・ 幸せなひと時ですね。(hw)
・ 「かたはらに猫の侍んべる夕端居」 としたい。 (If)
39 秋立つや地球は広き空と海 逸郎
・ 空の高さ、青さ。そんな時は海の色もいよいよ青々と。地球規模で見れば海は陸より圧倒的に広い。空はもっともっと。秋の季節感がそう思わせるのだろう。 (Jt)
・ 確かに、地球は広い空と海からできていますね。季語「秋立つ」がどうでしょうか?(hw)
・ 助詞の“は”が気になる。“に”の方が自然だと思うが。? (My)
40 色変り自在に在す酔芙蓉 逸郎
・ 酔芙蓉に対して敬語。白く咲いた酔芙蓉が夕刻にはほんのりと紅を帯びる。御酒を聞こし召されましたので……。 (Jt)
・ その通りですが、季語の説明で終わっています。(hw)
41 白無垢の命みぢかし酔芙蓉 逸郎
・ 確かに紅を帯びると間も無く萎んでしまうようだ。泥酔してしまったかのように……もうダメ……と。 (Jt)
・ その通りですが、季語の説明で終わっています。(hw)
・ 前句もそうだが、季語の本意本情を述べただけのように思えるが。? (My)
42 酔芙蓉と囃され花の色変る 逸郎
・ 酔芙蓉に意思があるかのよう。 (Jt)
・ そうでしょうか?自然に色は変わるのではないでしょうか?
この擬人化、成功していないと思いました。(hw)
43 夕風や落ち残りたる花芙蓉 逸郎
・ 上手い句です。抒情句です。 【天】 (hw)
44 落ちてなほ穢のあらず白芙蓉 逸郎
・ 芙蓉の花は夕方には萎んで花を閉じる。そして花びらを畳んだままその夜か翌日か額を残して花殻を落す。芙蓉はハイビスカスと同族らしい。一日花で次々に別の花を咲かせる。美しく咲いてその命は儚い。しかし、しっかりと身仕舞いをして落花してゆく。見習いたいもの。「散るときも身仕舞ひ確と仏桑華 丈」と作ったことがある。 (Jt)
・ 説明になっています。(hw)
45 幻聴の法師蝉かや遺影の間 逸郎
・ 法師蟬が鳴いていると感じるのだが、これは幻聴か? と不審に思っている。遺影の前で。恐らく心の内に個人への思いを寄せているところなのだろう。法師蟬も参加して個人の冥福を祈っているような……。 (Jt)
・ そんなのも聞えそうですね。(hw)
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【 兼題俳句への感想 】 258回 俳句ランド
次回 259 回の兼題は 「 ばった 」 「 茸(きのこ) 」 (両方とも派生語を含む) とします。
(258回の兼題は、「 露 」 「 蕎麦の花 」でした。)
投句は、5句程度としますが、句数にこだわらず奮って応募下さい。
≪ 感想≫ 対象第257回 兼題の俳句 「 蜩(ひぐらし) 」 「秋 」 (両方とも派生語を含む)
1 湯の宿に着くかなかなに迎へられ 丈
・ よくある景ですね。(If)
・ いいですね。命が伸びそうです。(hw)
2 ひぐらしや急磴つづく羽黒山 丈
・ ひぐらしに囃されて急磴を登ってる。(If)
・ 上手い句です。簡単明瞭で、素晴らしい。(hw)
3 かなかなや夕空映す露天風呂 丈
・ きれいな夕空だったことでしょう。(If)
・ いい雰囲気ですね。(hw)
4 沈む日のあかがね色もすでに秋 丈
・ あかがね色に秋を感じた。(If)
・ 確かに、秋になっています。(hw)
5 待ちかねし秋とはなれりやや痩せて 丈
・ 暑い日が続きやっと秋の気配を感じた。夏痩せも終ることでしょう。(If)
・ 「 やや痩せて 」は誰?(hw)
6 蜩に枝太々とありにけり 春生
・ 太い枝に留っていたのでしょうか。(If)
・ かなかなかな……とやや憂いを帯びたようなあの声。仄暗いこんもりとした森や林の中で鳴く。小さめな体に透き通った翅。太い小楢や赤松の幹に堂々ととまって……。自分には奥行きのある声のように感じられる。 (Jt)
7 蜩の力をためて鳴き出せり 春生
・ 上5は「法師蝉」の方がよさそう?。(If)
・ 息長く泣き続けるその声。力を貯めていたかのよう。 (Jt)
8 蜩の木立抜けたる身の軽し 春生
・ 抜けた主語が、ややわかりにくいか。(If)
・ まさに蜩版蝉時雨。木立の中を歩いていると全身が蜩の声に共鳴したかのよう。その林を抜け出た時身が軽くなったと感じた。そうかも知れない。 (Jt)
9 御朱印の列ながながと秋茜 春生
・ 中7を「列の長さや」としてみましたが?。(If)
・ バスツアーなどに参加しても、寺院を参拝すると御朱印を求める人は必ず居る。これはそういう人の参拝旅行なのかも……。この季語の斡旋は? 単に赤とんぼが飛んでいたというだけではないと思うが……。 (Jt)
10 秋風や生命線のやや伸びて 春生
・ 今夏は特に暑かったからでしょうね。(If)
・ この夏の劫暑、酷暑に堪え兼ねる思いでいたのだろうか? まさに危険な暑さの日々であった。あぁ、命が伸びる思い。 (Jt)
11 足跡の逢ひて別るる秋の浜 春生
・ この句の中7どうでしょう。(If)
・ ここに今、人はいないのだろう。あるのは足跡のみ。足跡がそう思わせている。実際にこんな場面に遭遇したのだろうか? 季語の斡旋からどんな出会いだったのかと、連想を膨らませられる。 (Jt)
12 戸が開くや山風入る今朝の秋 逸郎
・ 上五の「や」は詠嘆の「や」ではないのかも? 接続助詞? 「〜やいなや」の意? 立秋の山風の心地よさ。 (Jt)
・ 「戸が開くや」が無駄のように思えました。(hw)
13 目覚めゐて蜩母の遺影の間 逸郎
・ 朝の蜩であろうか? まだ布団の中? 亡母のことに想いを馳せて……。 (Jt)
・ 上手い句です。感じが出ています。(hw)
14 かなかなの中へ飛び込む訃報かな 逸郎
・ 蜩の声の聞こえてくる夕べ。訃報が舞い込んできた。季語にその時の気持ちが反映される。 (Jt)
・ 秀句です。こんな句を作りたいですね。でも、私には無理かも。(hw)
15 かなかなの中や児が泣く夕間暮 逸郎
・ 自分は蜩の森の中? どこからか赤子泣く声? 懐かしさに浸っているのだろうか? (Jt)
・ 雰囲気があります。(hw)
以上